獅子舞の紹介
◆歴史
市内に獅子舞を伝承している神社が数社有るが、旧露地区では春日神社だけである。現在青梅市の無形民俗文化財に指定され、「春日神社獅子舞保存会」が保存伝承している。
獅子舞のいわれについては、前述のように神照寺が消失したため、詳しい記録は残っていないが、平成7年1月、青梅市文化財保護指導員と郷土資料室が調査に訪れ、社宝として保存されている獅子頭を入れていたと思われる「宝暦二年(1752年)奉造補獅子頭三併諸道具---」と墨書された木製の箱が発見された。このことより、約250年前には、既に獅子舞が伝承されていたことが伺える。
◆解説
春目押杜の獅子舞には『矢庭』『後庭』の二つの舞があり、どちらも三匹の獅子によって神前で舞われ、神様に舞を奉納するという形が取られている。所要時間は、二庭ともそれぞれ90分前後であるが、休むこと無く舞い続けるのがこの獅子舞の特徴である。
矢庭は比較的ゆっくりとした舞いで、後半に三匹が揃って四方の花(ささら)を廻る「花見」の舞いがある。
後庭は、テンポが速く荒々しい舞いで矢庭の花見に代わり「ばち見せ」、「弓掛り」と呼ばれる舞いがある。
矢庭・後座共に、一匹の雌獅子を雄獅子、太夫獅子の二匹が取り合い、争うというもので、内側に寄せられた花の中に、雄獅子と雌獅子が伸良く隠れると、外を廻っていた太夫獅子が、地面に鼻をこすりつけるように匂いを嗅ぎ、隠れた二匹を探し始める。やがて二匹を見つけると、雄獅子を脅して追い出し、自分が雌獅子と一緒に中へ隠れる。
追い出された雄獅子が、今度は反対に花の周囲を探し始める。
最も時間の長いこの場面で、体を低くして探し廻る仕種や、見つからないように隠れて舞う仕種をどれだけ表現できるかが見所の一つといえよう。
◆部分の名称
矢庭、後庭に多少の違いがあるが、次の順に獅子舞が行われる。
矢庭【揃・入派・狂込・散・関士・散・花寄せ・関士・花見・散・関士・揃】
後庭【揃・狂込・四ツ返・チャンギリハ・散・関士・散・花寄せ・バチ見せ・関士・弓掛り・散・関士・揃】
《読み》揃・・・・そろい
入派・・・いりは
散・・・・ちらし
狂込・・・くるいこみ
関士・・・せきどまり
弓掛り・・ゆみがかり
関士・・・せきどまり
弓掛り・・ゆみがかり
◆舞の順序
◎揃、狂人、入場、散、散(三面)にて関止まり
※歌:廻りは車、水車、遅く廻りて関止まり。
この杜守は飛騨の工にくみあげて飛騨の工の
細工なり、あまり高さに建ちすぎて落ちる木
の葉がのきにとまらん。
◎花寄せ
※歌:思いも寄らぬに、朝露が降りて雌獅子、雄獅
子がかくされた。
◎二度目の関止まり
※歌:人はともあれ、かくもあれ、雄獅子、雌獅子
がかたならべ。
奥山の松にからまる、ツタに葉も緑がつきれ
ぱ、ほろり、こぽれる。
この獅子は伊勢の生まれで伊勢に育ち、腰に
はらいをさし給う
◎花見
西北の月より見初め、南東の牡丹、南西の牡
丹、東北の太陽を見る。
◎三度胃の関止り
※歌:道の根ざしに露が明けて、おいとま申して関止り。
月も目も西へ西へと、おい人やるを、おいとま申
して帰れ、ともだち。
この庭はたてへ十五里、横へ七里、
見て出場にまような。
入場よく見て出場にまような。
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